「街道」とは、人や物が行き来した江戸時代の道のことをいいます。江戸の日本橋をスタートとした東海道や、中仙道、奥州街道などの有名どころから、地域の人しか知らないような山越えの道までさまざまありました。現在の道路を「○○街道」と呼ぶ場合もありますが、それは江戸時代の街道が今でも利用者に愛着を感じさせるためでしょう。
時代劇の世界ではおなじみの宿場茶屋一里塚松並木、あるいは石畳の峠道など、これらは街道の代表的な風景です。参勤交代の行列が通り、商人たちが各地の産物をその背や馬に乗せて運び、飛脚が駆け抜け、お伊勢参り出羽三山詣での人々が様々な思いを胸に歩いた”歴史の道”、それが街道です。街道は乗り物といっても馬や駕籠くらいしかない時代に発達したため、とても自動車が通れるような道ではありませんでした。明治以降に馬車道や車道へ改良され、ようやく現在の道に近い姿が生まれました。その後、都市化や路線変更によって姿を消した道路もたくさんありますが、岩手県北部にある一戸〜二戸地域には、当時の面影を残す街道がたくさん残っており、農作業や散歩のための道として今なお息づいています。